ものづくり

大豆焙煎士が語る、「焙煎」と「旨味」の深い関係

2025年11月12日

目次

私たち美濃与の仕事は、一見とてもシンプルです。
「大豆を焙煎して、粉にする。」
しかしその工程には、想像を超えるほどの奥深さと繊細な技があります。

焙煎は“焼く”ではなく“生かす”技

焙煎の目的は、ただ焼き色をつけることではありません。
大豆の中に眠る香りと甘みを、火の力で“生かす”ことにあります。
生の大豆は青っぽく、香りも淡白です。そこに熱を加えると、香ばしさと旨味が立ち上がります。

しかし、少しでも火が強すぎると焦げ臭く、逆に弱すぎると香りが出ません。
その境界を見極めるのは、数字ではなく職人の感覚です。
豆がはぜる音や、立ちのぼる香り。
五感を頼りに、“いま”が最高の瞬間だと感じ取る——それが焙煎士の仕事です。

温度と時間の静かな駆け引き

私たちが扱う大豆は、産地や品種によって性格がまるで違います。
たとえば:

  • 北海道産「ゆたかみどり」:香りが穏やかでやさしい風味
  • 九州産「フクユタカ」:深いコクと濃厚な旨味

同じ温度で焙煎しても、全く異なる結果になります。
香ばしさを際立たせるには高温・短時間、甘みを引き出すには低温・長時間。
その日の湿度や気温によっても、火の通り方は微妙に変わります。

毎日の焙煎は、まるで“生き物と対話している”ようなものです。

旨味とは、香ばしさと甘みの調和

私たちが考える大豆の旨味は、「香ばしさ」と「甘み」の間に生まれる調和です。
口に入れた瞬間の香り立ち、そして少し遅れて広がるやさしい甘さ。
その流れを作るのが、焙煎の温度と時間のバランスです。

  • 焦げの一歩手前で止める勇気
  • 甘みを逃さないようにする工夫

これらが揃って初めて、ふんわりと香り立つ美濃与のきな粉が完成します。

変わらぬ手、変わり続ける心

美濃与の焙煎室には、創業当時から受け継がれた機械があります。
見た目は昔のままでも、そこに込められた思いは常に新しい。
「伝統を守る」とは、同じことを繰り返すことではなく、
“おいしさ”の本質を追い続けることだと私たちは信じています。

  • FSSC22000取得による品質管理
  • 新技術(遠赤外線・AI制御焙煎など)の導入
  • そして何より、最後は人の感覚で仕上げること

技術が進化しても、焙煎士の勘と経験に勝るものはありません。

おわりに

焙煎は毎日同じようで、決して同じではありません。
今日の湿度、今日の大豆、今日の火加減。
そのすべてが、出来上がるきな粉の香りを変えます。

だからこそ、焙煎士にとって毎日は挑戦であり、発見の連続です。
そしてその一粒一粒に、職人の想いと誇りが込められています。

一口で「おいしい」と感じていただけた瞬間に、
そのすべての努力が報われるのです。

関連記事

契約農家とつながる産地訪問:丹波大納言小豆の畑から美濃与の工場まで“素材の旅”

テキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキスト

最新記事

カテゴリ

タグ

資料請求・お問い合わせ​

原材料や商品に関するご質問、資料のご請求はお気軽にお問い合わせください。
専任スタッフが丁寧に対応いたします。